トルコ語
Türkçe
発音 IPA: [ˈtyɾctʃe] ( 音声ファイル)
話される国 トルコ (公用語)、北キプロス (公用語)、キプロス (公用語)、ブルガリアマケドニアギリシャイラクシリアアゼルバイジャンコソボルーマニアボスニア・ヘルツェゴビナ
地域 アナトリアバルカン半島キプロス島メソポタミアレヴァント南コーカサス
民族 トルコ人
話者数 母語話者は7570万人(2002年)[1]、母語話者と第二言語話者の総計は8800万人(2012年)[2]
話者数の順位 19 - 21
言語系統
テュルク諸語
方言
表記体系 ラテン文字 (トルコ語アルファベット)
トルコ語点字
公的地位
公用語 トルコの旗 トルコ
北キプロス・トルコ共和国の旗 北キプロス・トルコ共和国
キプロスの旗 キプロス
少数言語としての承認 ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ
ギリシャの旗 ギリシャ
イラクの旗 イラク
コソボの旗 コソボ
北マケドニア共和国の旗 北マケドニア共和国
ルーマニアの旗 ルーマニア
統制機関 トルコ言語協会
言語コード
ISO 639-1 tr
ISO 639-2 tur
ISO 639-3 tur
Map of Turkish Language.png
  トルコ語を公用語とする国
  少数のトルコ語話者が存在する国
 
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トルコ語話者の人口が多い国

トルコ語(トルコご、Türkçe)は、アゼルバイジャン語トルクメン語と同じテュルク諸語の南西語群(オグズ語群)に属する言語。

概要

テュルク諸語のうち最大の話者数をもつ。トルコ語の話者が最も多いのはトルコ共和国であり、人口の約3分の2を占めるトルコ人の母語であるほか、公用語ともなっているため約7500万人のトルコ国民のほとんどはトルコ語を話すことができる[3]キプロス共和国ギリシャ語と並んでトルコ語を公用語としている[4]が、実際にはキプロス紛争の結果1974年に国が南北に分断され、南部のみを領するようになったキプロス共和国内にはほぼトルコ人が存在しなくなったため、名目のみの公用語となっている。逆に島の北部を領有している北キプロス・トルコ共和国は約33万人の国民のほとんどをトルコ人が占めるようになったため、トルコ語が唯一の公用語となっている。

このほか、ブルガリアに約100万人[5]ギリシャに約15万人、そのほかマケドニア共和国コソボにも母語話者がいる。ドイツオーストリアスイスリヒテンシュタインなど西ヨーロッパ東部〜中央ヨーロッパのトルコ系移民社会(250万人以上)でも話されているが、現地で生まれてトルコ語が満足に話せない若者も増えている[6]

アラビア語・ペルシア語からの借用語が極めて多い他、日常語にはブルガリア語ギリシャ語など周辺の言語からの借用語も多く、近代に入った外来語にはフランス語からのものが多い。

方言

イスタンブール方言を基礎とする共通語を持つほか、いくつかの方言が存在する[7]

表記体系

文章語はオスマン帝国時代にイスタンブールのエリート階層の人々が使用していたオスマン語を、アラビア文字表記からラテン文字表記に改め、アラビア語ペルシア語の語彙・語法を減らして簡略化したものを基礎とする。この言語改革はトルコ共和国を建国したムスタファ・ケマル・アタテュルクによって強力に進められたもので、古語からの語彙の復活や新造語によって旧来のアラビア語・ペルシア語からの借用語を置き換える形で進められた[8]。ただし両言語からの借用語は非常に多岐にわたっていたために完全に置換することはできず、言語改革後も多くの借用語がいまだ存在している[9]

現代トルコ語のラテン・アルファベット

文法

日本語助詞助動詞のように、単語の末尾に接尾辞を付着させて文法関係を示す膠着語であり、語順も日本語に似て、原則として主語を文の先頭、述語を文の末尾に置く(SOV型)。形容詞も日本語同様、前置修飾である。母音調和を行うことも大きな特徴である。

例: Ben dün mektubu yazdım.(私は昨日、手紙を書いた。)
Ben(私) dün(昨日) mektub(手紙) u(「を」に当たる格語尾) yaz(「書く」を意味する動詞yazmakの語幹) (過去形を作る接辞) m(主語が一人称単数の場合に用いる人称語尾)

ここでは、日本語との違いとして、助詞「は」に当たる主題を表す接尾辞が存在しないこと、主語の人称によって動詞の語尾が変化することが挙げられる。

このほか、トルコ語には所有接辞が存在する。

例: kitap(本)+ım(所有接辞。所有者が一人称単数で、所有対象が子音で終わる場合、-im/-ım/-um/-ümの4種類があるが、ここでは母音調和により-ım)=kitabım(私の本。kitapのpは

現代トルコ語には、aeıioöuüの8母音があり、下の表のように分類される。

Zimmer & Orgun (1999:155) [1]
前舌母音 後舌母音
非円唇 e a
i ı
円唇 ö o
ü u

日本語の前舌、後舌母音のことをトルコ語では「細い母音 (ince ünlü)」「太い母音 (kalın ünlü)」という。前舌母音と後舌母音はそれぞれ一語中で共存せず、非円唇母音と円唇母音、広い母音と狭い母音がそれぞれ整然とした対応関係を持つ。

簡単には、「eおよび点の付く母音」と「それ以外の(点の付かない)母音」に分け、前者は「e」で受け、後者は「a」で受けると覚えると分かりやすい。

例えば、時点、地点を表す接尾語(助詞)は「〜de」と「〜da」だが、

  • 「2時に」は saat ikide(「時」「2」「に」)
  • 「6時に」は saat altıda(「時」「6」「に」)

のように、直前の母音により使い分ける(deとdaに意味上の区別はない)。

熟語を形成した単語も、

  • 「どこに」は nerede(「ne」は「どの」)
  • 「ここに」は burada(「bu」は「この」)

となる。

方向を表す「〜に」は「〜e」と「〜a」、「〜から」は「〜den」と「〜dan」だが、これらも同様にそれぞれ、

  • İzmir'e(イズミルに)、İzmir'den(イズミルから)
  • İstanbul'a(イスタンブールに)、İstanbul'dan(イスタンブールから)

になる。

また、「8」、「9」を表す数詞はそれぞれ「sekiz」、「dokuz」だが、これらから派生した「80」、「90」はそれぞれ、

  • sekiz (8) → seksen (80)
  • dokuz (9) → doksan (90)

となる。

関連項目