Gott erhalte Franz den Kaiser
和訳例:神よ、皇帝フランツを守り給え
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ハイドンによる皇帝讃歌の自筆譜

国歌の対象
神聖ローマ帝国の旗 神聖ローマ帝国
オーストリア帝国の旗 オーストリア帝国
Flag of Austria-Hungary (1869-1918).svg オーストリア=ハンガリー帝国

別名 Österreichische Kaiserhymne
(オーストリア皇帝讃歌)
作詞 ローレンツ・レオポルト・ハシュカドイツ語版
ヨーゼフ・クリスティアン・フォン・ゼドリッツドイツ語版
ヨハン・ガブリエル・ザイドルドイツ語版
作曲 フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
採用時期 1804年
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神よ、皇帝フランツを守り給え』(ドイツ語: Gott erhalte Franz den Kaiser)あるいは『オーストリア皇帝讃歌』(ドイツ語: Österreichische Kaiserhymne)は、神聖ローマ帝国オーストリア帝国(のちオーストリア=ハンガリー帝国)の国歌フランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作曲による。ハイドンによるメロディーはその後、数多くの讃美歌クラシック音楽の中で用いられ、またドイツの国歌『ドイツの歌』として転用されている。

作曲に至る過程

作曲の経緯には、2つの説がある。いずれにせよ、イングランドの『神よ国王を護り賜え』の影響を強く受けて成立したことは確実である[1]

第1の説

フランツ・ヨーゼフ・フォン・ゾーラウドイツ語版伯爵が作曲全体のイニシアティブをとったとする説。ゾーラウ伯爵の1820年2月28日付の書状の内容に基づく[1]

フランス革命戦争の最中である1796年の終わり、神聖ローマ帝国(オーストリア)はナポレオン軍に脅かされるなど政治的に不安定な情勢下にあった。そのため皇帝のもとでの国民の団結が強く求められていたが、時の神聖ローマ皇帝フランツ2世は優柔不断かつ悲観的な性格で、それほど国民に愛されてはいなかった[2]

そこでニーダーエスターライヒ州政府長官のフランツ・ヨーゼフ・フォン・ゾーラウドイツ語版伯爵は、国民の団結を促す契機となるものを作らんと、詩人のローレンツ・レオポルト・ハシュカドイツ語版に、イングランドの『神よ国王を護り賜え』を手本として、翌年の皇帝の誕生日(=1797年2月12日)に演奏する歌の歌詞を書くように依頼した[2]。1796年10月11日、ハシュカは完成した歌詞を、ゾーラウ伯爵に送った[2]

ゾーラウ伯爵から作曲を依頼されたハイドンも、1791年から92年、また1794年から95年にかけてロンドンに赴いた時に『神よ国王を護り賜え』を耳にしており、それを大いに意識して作曲を行った[3]。(ハイドンの英国訪問については「ロンドン交響曲」も参照)

第2の説

ウィーンの宮廷図書館に勤めていたアントン・フランツ・シュミットドイツ語版という人物の記した書物に基づく[1]

『神よ国王を護り賜え』を聴いたハイドンが、ウィーンの音楽愛好家であるゴットフリート・ヴァン・スウィーテンドイツ語版男爵に、オーストリアにも同様の国歌があればと述べた[1]。スウィーテンがゾーラウ伯爵にこれを伝え、ゾーラウ伯爵がハシュカに作詞を依頼した[1]

作曲

1816年ごろの楽譜。左上に「Volkslied.」とある

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オーケストラ譜には、ハイドン自身の手で「Volck's Lied」という注記があり、その意味は「国民の歌」とも「民謡」ともとれる[1]。これに関連し、作曲時にハイドンが参考にした可能性がある民謡がある。クロアチア民謡「悲しき花嫁(Zalostna zarucnice)」で、冒頭部分の音符とリズムの輪郭が完全に一致する[1]H.C.ロビンス・ランドンは、ハイドンが1761年以降仕えていたエステルハージ家の居城があったエステルハーザ付近でこの民謡が歌われていたと指摘している[4]

カトリックの『ローマ・ミサ典礼書英語版』に含まれる《天にましますわれらの父よ》とも、冒頭の旋律に含まれる音が一致するなど、類似が指摘されている[4]

初演

1797年1月28日にゾーラウ伯爵がハイドンの浄書譜に出版を許可しているため、それまでには作曲が完了していたと考えられる[3]。印刷は大急ぎで行われ、1月30日には初版の印刷が完了したらしい[3]。そして皇帝フランツ2世の29歳の誕生日である1797年2月12日、ウィーンのブルク劇場において、フランツ2世臨席のもとでオーケストラ伴奏によって初演された[3]。初演後まもなく、ハイドンと交流があったチャールズ・バーニー英語版が、歌詞を英訳してイングランドで紹介し、好評を博した[5]

歌詞

初演以降、この歌は歌詞が何度か変えられている。「皇帝賛美」というコンセプトは同じであるが、フランツ2世の時だけでも2度変えられており、皇帝の代替わりの際に歌詞が変えられることがあった。

初稿(

帝国宝物ドイツ語版に身を包んだ神聖ローマ皇帝フランツ2世

各節の最後にある "Gott erhalte ...." (神よ、皇帝フランツを守り給え 我らが良き皇帝フランツを!)は繰り返す。

(ドイツ語歌詞)

  1. Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
    Lange lebe Franz, der Kaiser,
    In des Glückes hellstem Glanz!
    Ihm erblühen Lorbeerreiser,
    Wo er geht, zum Ehrenkranz!
    Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  2. Laß von seiner Fahne Spitzen
    Strahlen Sieg und Fruchtbarkeit!
    Laß in seinem Rate Sitzen
    Weisheit, Klugheit, Redlichkeit;
    Und mit Seiner Hoheit Blitzen
    Schalten nur Gerechtigkeit!
    Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  3. Ströme deiner Gaben Fülle
    Über ihn, sein Haus und Reich!
    Brich der Bosheit Macht, enthülle
    Jeden Schelm- und Bubenstreich!
    Dein Gesetz sei stets sein Wille,
    Dieser uns Gesetzen gleich.
    Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  4. Froh erleb' er seiner Lande,
    Seiner Völker höchsten Flor!
    Seh' sie, Eins durch Bruderbande,
    Ragen allen andern vor!
    Und vernehm' noch an dem Rande
    Später Gruft der Endkel Chor.
    Gott erhalte Franz, den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!

(日本語訳)

  1. 神よ、皇帝フランツを守りたまえ
    われらが良き皇帝フランツを!
    皇帝に長寿あれ、
    幸運の輝かしき栄光のうちに!
    皇帝も行くところ
    月桂樹の一枝も栄誉の花輪に繁れり!
    神よ皇帝フランツを守り給え、
    われらが良き皇帝フランツを!
  2. 陛下の御旗を高々と掲げ、
    勝利と実りを輝かせよう!
    陛下の集いに
    英知と賢明と誠実を置こう!
    そして、威厳の煌かせて
    ただ正義を行おう!
    神よ、皇帝フランツを守り給え、
    われらが良き皇帝フランツを!
  3. 汝の豊潤な才幹を
    陛下とその宮殿、帝国に注ぎ込むべし!
    悪意をなす不逞な、
    ならず者や悪党どもの一撃をも打ち破るべし!
    汝の法は常に陛下の大御心なり。
    われらには皇帝と法は同じなり!
    神よ、皇帝フランツを守り給え
    われらが良き皇帝フランツを!
  4. 祖国!諸民族!高き勲章に
    歓喜を味わわせよ!
    奮戦敢闘して
    前進すべし!
    霊廟の際から
    最期の歌声が聞こえん!
    神よ、皇帝フランツを守り給え、
    われらが良き皇帝フランツを!

改訂版(

オーストリア皇帝フランツ1世

各節の最後にある "Gott erhalte ...." は繰り返す。

(ドイツ語歌詞)

  1. Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz,
    Hoch als Herrscher, hoch als Weiser,
    Steht er in des Ruhmes Glanz;
    Liebe windet Lorbeerreiser
    Ihm zum ewig grünen Kranz.
    Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  2. Über blühende Gefilde
    Reicht sein Scepter weit und breit;
    Säulen seines Throns sind milde,
    Biedersinn und Redlichkeit,
    Und von seinem Wappenschilde
    Strahlet die Gerechtigkeit.
    Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  3. Sich mit Tugenden zu schmücken,
    Achtet er der Sorgen werth,
    Nicht um Völker zu erdrücken
    Flammt in seiner Hand das Schwert:
    Sie zu segnen, zu beglücken,
    Ist der Preis, den er begehrt,
    Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!
  4. Er zerbrach der Knechtschaft Bande,
    Hob zur Freiheit uns empor!
    Früh' erleb' er deutscher Lande,
    Deutscher Völker höchsten Flor,
    Und vernehme noch am Rande
    Später Gruft der Enkel Chor:
    Gott erhalte Franz den Kaiser,
    Unsern guten Kaiser Franz!

(日本語訳)

  1. 神よ皇帝フランツを守りたまえ
    われらが良き皇帝フランツを!
    統治者としては気高く、賢人としては高尚に、
    陛下は栄光の輝きの中に立られる
    慈愛は月桂樹の枝を編みて
    皇帝に常緑の花輪を与えん
    神よ、皇帝フランツを守りたまえ
    我らが良き皇帝フランツを!
  2. 花咲く野にて
    陛下の王権は広く遠くに及ぶ
    皇帝の玉座の柱は
    寛大と誠実を象徴す
    さらに皇帝の紋章は
    陛下の公正さを現す。
    神よ、皇帝フランツを守りたまえ
    我らが良き皇帝フランツを!
  3. 陛下はその身を着飾り
    思いを巡らし
    民を幸いのために
    御剣を掌中で煌めかせたまう
    民に恵みを与え、幸いにすること
    これぞ叡慮であり、陛下の希望なり
    神よ、皇帝フランツを守りたまえ
    我らが良き皇帝フランツを!
  4. 陛下は隷属の軛を克服し
    我らを自由へと導かれた!
    陛下はドイツ諸邦と諸国民を率いて
    ドイツ諸国民は興隆す
    我らは陛下の事績を聞き
    子々孫々まで歌い継がん
    神よ、皇帝フランツを守りたまえ
    我らが良き皇帝フランツを!

1835 - 1848年版(

オーストリア皇帝フェルディナント1世

ヨーゼフ・クリスティアン・フォン・ゼドリッツドイツ語版の作詞による。

(ドイツ語歌詞)

  1. Segen Öst'reichs hohem Sohne,
    Unserm Kaiser Ferdinand!
    Gott von Deinem Wolkenthrone
    Blick' erhörend auf dies Land!
    Laß Ihn, auf des Lebens Höhen
    Hingestellt von Deiner Hand,
    Glücklich und beglückend stehen,
    Schütze unsern Ferdinand!
    Glücklich und beglückend stehen,
    Schütze unsern Ferdinand!
  2. Alle Deine Gaben spende
    Gnädig Ihm und Seinem Haus';
    Alle deine Engel sende,
    Herr, auf Seinen Wegen aus!
    Gib, daß Recht und Licht und Wahrheit,
    Wie sie Ihm im Herzen glüh'n,
    Lang' in reiner, ew'ger Klarheit
    Noch zu unserm Heile blüh'n!
    Lang' in reiner, ew'ger Klarheit
    Noch zu unserm Heile blüh'n!
  3. Palmen laß Sein Haupt umkränzen,
    Scheuche Krieg und Zwietracht fort;
    Laß' Ihn hoch und herrlich glänzen,
    Als des Friedens Schirm und Hort!
    Laß' Ihn, wenn Gewitter grauen,
    Wie ein Sternbild hingestellt,
    Tröstend Licht hernieder thauen,
    In die sturmbewegte Welt!
    Tröstend Licht hernieder thauen,
    In die sturmbewegte Welt!
  4. Holde Ruh' und Eintracht walte,
    Wo er sanft das Scepter schwingt;
    Seines Volkes Liebe halte
    Freudig Seinen Thron umringt;
    Unaufhörlich festgeschlungen
    Bleibe ewig dieses Band!
    Rufet "Heil" mit tausend Zungen,
    "Heil dem milden Ferdinand!"
    Rufet "Heil" mit tausend Zungen,
    "Heil dem milden Ferdinand!

(日本語訳)